私は湿気に弱い。
暑さと寒さなら、圧倒的に寒さの方が得意である。
私の住む街は比較的温暖な地域だが、それでも冬はそれなりに寒い。
でも一年中、裸足に下駄で外へ出る。
「寒くないの?」と聞かれれば、そりゃ寒い。
でも我慢できないほどではない。
だから問題にならない。
ところが湿度は違う。
気温が多少高くても、風があり空気が乾いていれば案外平気だ。
30℃を超えてもエアコンを使わずに過ごせることもある。
しかし梅雨時の湿度だけは本当に苦手だ。
汗が乾かない。
肌がべたつく。
どこかしら痒くなる。
空気そのものがまとわりついてくるような感覚がある。
私にとって辛いのは暑さではなく、湿度なのだ。
暑さの中にも色々ある
世間ではよく
「暑いですね」
「寒いですね」
という会話をする。
挨拶みたいなものだから、それはそれで良いと思う。
でも時々思う。
暑さにも色々ある。
カラッとしていて気持ちの良い暑さもある。
逆に気温はそれほど高くないのに、湿度だけが高くてしんどい日もある。
私の場合、圧倒的に後者の方が辛い。
どうも人は、一つの言葉でまとめてしまいがちだ。
しかし実際には、その中にも細かな違いがある。
温度、湿度、風量。
この三つのパラメータが少し変わるだけでも、随分体感は違う。
でも、大体「暑い」で片づけられてしまう。
湿ると人も湿る
さて、湿度が高いと洗濯物は乾きにくい。
部屋干しをすれば匂いも出る。
我が家でも、この時期になると妻のご機嫌がブレて対応に気を遣う。
湿度そのものが人を不快にしているのか。
洗濯物の匂いが機嫌を悪くしているのか。
その辺りは、どっちがニワトリでどっちが卵かみたいな話になってしまうのでよく分からない。
ただ、湿った空気の中では、どうも家の雰囲気まで湿りがちな気がする。
ことわざでも「湿っぽい話」という。
昔の人も似たような感覚を持っていたのかもしれない。
でも、湿度は悪者ではない
ただ面白いのは、人間にとって嫌なものが、必ずしも悪いものではないことだ。
湿度が高くなると、植物は元気になる。
微生物の活動も活発になる。
生命は勢いを増す。
人間から見れば不快な季節でも、自然界にとっては大切な時期なのだろう。
結局、
「自分に都合が悪い」と
「悪いもの」は
別なのかもしれない。
この季節だから見えるもの
そして湿度があるからこそ見える景色もある。
蒸し暑い外からエアコンの効いた部屋へ入った時の気持ち良さ。
あれは湿度があるからこそ感じられる。
アジサイもそうだ。
アジサイは青空より、薄曇りや小雨の方が似合う気がする。
雨に濡れた花びら。
少し重たい空気。
しっとりした景色。
あの雰囲気は、この季節ならではだ。
上手に付き合う
正直なところ、私は今でも湿度が好きとは言えない。
できることなら、もう少しカラッとしていてほしい。
いや、なんなら湿気の多い季節はパスしたい。
この一ヶ月だけでも、海外の乾燥した地方へ移住したいレベルで苦手である。
でも、嫌だからといって避けられるものでもない。
この時期を越えなければ夏は来ない。
だったら…
少しだけ視野を広げてみる。
嫌な部分だけではなく、この季節だから見えるものも探してみる。
そんな風景観察も、湿度とうまく付き合うための一つの方法なのかもしれない。
道端のアジサイの上をゆっくり進むカタツムリ。
彼らにとってはトップシーズンな訳である。
