道具は変われど…

最近、SNSで「AIを使って月収100万円」とか、「AIだけで副業」なんて話をよく見かける。
まぁ~香ばしい話なのだが、一定数の需要があるのでしょう…ね。

そのたびに、私は少し不思議な気持ちになる。

どこかで見たことがある風景だからだ。

昔は、「Excelを使えば業務改善できる」という話が流行った。

関数を覚えれば仕事が楽になる。

マクロを組めば残業が減る。

そんな話を本当によく聞いた。

今思えば、あの頃のExcelと、今のAIは少し似ている気がする。

もちろん中身は全然違う。

でも私の中では同じカテゴリーだ。

そのどちらも「道具」である。

Excelが仕事を改善したわけではない

私は仕事で長くExcelを使ってきた。

始めの頃はSUMぐらいしか使ったことが無かったし、お約束の「方眼紙」の代わりにしていた。

ちなみに…『Excel方眼紙』は本当に迷惑です…皆さんはやってませんよね?
ダメ!絶対!(笑)

で、徐々に関数を覚え、ピボットで回し、マクロを組み…と、業務改善を繰り返してきた。

そのおかげで、人より短い時間で仕事を終わらせられることもあった。

でも振り返ってみると、仕事を改善したのはExcelではなかった。

まず、

何に困っているのか。

どこが無駄なのか。

何を自動化できるのか。

それを考える。

その後で、Excelという「道具」を使って現実に表現していく。

道具は最後に登場する。

Excelは考えたことを形にするための道具に過ぎないのだから。

AIもたぶん同じだ

私はAIも同じだと思っている。

AIそのものが価値を生み出しているわけではないし、生み出せるわけでもない。

いや、開発した会社は価値転換できるけど、ユーザーの立場としての話ね。

例えば、「AIに動画のシナリオを書かせれば儲かる…」みたいな話を聞く。

でも本当に重要なのは、その前でしょ?

何について書くのか。

誰に向けて書くのか。

なぜそれを見たいと思うのか。

何が面白いのか。

そこが曖昧なままでは、どれだけ優秀なAIを使っても結果は変わらない。

これはExcelを起動しただけで業務改善できると思うのと少し似ている。

初めてExcelのアイコンをダブルクリックし、真っ白な升目を見たときの絶望感を思い出して欲しい。

AIに興味を持った理由

実は私は、AIに触れる少し前にPythonを勉強しようと思っていた。

Excel内での仕事の改善に限界を感じていた私は、自身のスキルの拡張の必要性を感じていたから。

ところがChatGPTに触った時、「あぁ、コーディングそのものの価値は大きく変わるな」と感じた。

それまでPythonへ向いていた興味は、一気にAIへ移った。

実際触ってみると、これが面白い。

例えば、AIにコードを書かせるには、結局プログラミングの知識が必要なのだ。

何を作りたいのか。

どう動くべきなのか。

どこがおかしいのか。

それが分からなければ、AIの回答を評価できない。

結局、道具が変わっても本質は変わらないのである。

消えたのは仕事ではなく作業

最近は社内資料を作る時にもAIを使っている。

以前なら何日もかかっていた作業が、驚くほど短時間で終わるようになった。

でも仕事そのものは無くならなかった。

無くなったのは「作業」だ。

何を伝えるのか。

どこを削るのか。

どんな順番なら伝わるのか。

そうした判断は今も人間の仕事である。

むしろ以前より重要になった気さえしている。

AIは速い

私の同僚がしきりに、「AIは平気で嘘をつくから怖い」と話す。

いわゆる「ハルシネーション」ってやつだ。

確かにその通りだ。

最近は随分ましになったが、数年前のAIのハルシネーションなんて、ネタになるレベルで面白かった(笑)

ただ、今の私はそれを聞くたび、「それって、大型スポーツバイクに乗って『速すぎる!』って怒ってるようなものじゃない?」となる。

AIは速い。

だから便利なのだ。

そして速いから扱いを間違えると危険なこともあるのだ。

重要なのは、

AIを完璧な答えを出す機械だと思わないこと。

優秀な補助輪。

高性能な翻訳機。

とても賢い壁打ち相手。

そのぐらいに思っておく方が付き合いやすい気がする。

本当のAI時代はまだ先かもしれない

おそらく本当のAI時代は今ではない。

むしろ、「そういえばAIブームなんてあったね」と言われ始めた頃なのではないかと思う。

Excelもそうだった。

みんながExcelの話をしていた時代があった。

でも本当に社会へ溶け込んだのは、その後だった。

とは言え、ビジネスマンの必須スキルみたいな顔をしているが、いまだに「おいおい…」と言いたくなる使い方を見かけることも多い(笑)

結局「道具」だから、使える使えないの差はできる。

今では誰もExcelを「特別な技術」とは思わない。

使う人は当たり前に使う。

使わない人は使わない。

上手い下手がある。

ただそれだけだ。

AIもきっと同じだろう。

その頃には特別な話題ですら無くなっている。

でも、その差は静かに広がっている。

そんな未来を私は想像している。

私はAIの専門家ではない。

ただ、長くExcelを使ってきた一人として思う。

道具は人を選ばない。

けれど、その道具をどう見るかで未来は変わる。

AIは魔法ではない。

でも、ただの流行でもない。

少なくとも私には、次の時代のExcelのように見えている。